熱中症を知って、
夏を安全に乗り切ろう!

「熱中症って、実は身近な危険」

夏が近づくと気になるのが「熱中症」ですね。「私は大丈夫」と思っていませんか?

実は熱中症は、灼熱の太陽の下だけでなく、意外と涼しげな室内でも静かに忍び寄ります。

特に高齢の方やお子さんは要注意です。

私たちのクリニックにも、毎年「エアコンを使わなかったら…」「ちょっとした庭仕事をしていたら…」と、思いがけない場面で熱中症になった患者さんが訪れます。
今回は、そんな熱中症の正体と、賢く予防する方法をご紹介します。

「熱中症の正体とは?」

熱中症とは、体内の「温度調節システム」が壊れてしまった状態です。
私たちの体は、暑くなると自動的に汗をかいたり、皮膚の血管を広げたりして熱を逃がそうとします。これが「体温調節機能」です。しかし、気温や湿度が高すぎると、この機能が追いつかなくなり、体内に熱がこもってしまいます。

昔は「日射病」「熱射病」「熱疲労」などと分けて呼ばれていましたが、現在はこれらを総称して「熱中症」と呼んでいます。というのも、直射日光がなくても発症するケースが多いからなんです。

「あなたは大丈夫?熱中症リスクチェック」

次のような方は、特に熱中症になりやすいので注意が必要です:

  • 年齢:65歳以上の方や15歳未満のお子さん
  • 持病がある方:心臓や肺の病気、高血圧、糖尿病などをお持ちの方
  • お薬を飲んでいる方:特に利尿剤や精神科のお薬を服用中の方
  • 体型:肥満気味の方
  • 生活習慣:エアコンを使わない、水分をあまり取らない方

「熱中症のサイン、見逃していませんか?」

熱中症の症状は、軽度から重度まで様々です。早期発見が大切ですので、次のサインに注意しましょう:

軽症(Ⅰ度)のサイン

  • めまいや立ちくらみがする
  • 筋肉がつる(特にふくらはぎ)
  • なんとなく気分が悪い

これらの症状が出たら、すぐに涼しい場所に移動して水分補給をしましょう。

中等症(Ⅱ度)のサイン

  • 頭痛がする
  • 吐き気がある、または実際に吐いてしまう
  • 体がだるくて力が入らない

重症(Ⅲ度)のサイン

  • 体温が非常に高い
  • 意識がもうろうとしている
  • 呼びかけても反応が鈍い、または反応しない
  • まっすぐ歩けない

これは緊急事態です!すぐに救急車(119番)を呼びましょう。

「熱中症予防の3つの鉄則」

1.暑さを避ける工夫

  • 屋外では  :日傘や帽子を活用し、日陰を選んで歩きましょう
  • 室内では  :エアコンを使い、室温28°Cを目安に調整しましょう(※温度計で実際の室温を確認することが大切です)
  • 服選びも重要:通気性の良い素材を選び、黒など熱を吸収する色は避けましょう

2.賢い水分補給

  • 喉が渇く前に:「喉が渇いた」と感じた時は、すでに軽い脱水状態です。こまめに水分を取りましょう
  • 塩分も忘れずに:大量に汗をかいた時は水だけでなく、塩分も補給しましょう。スポーツドリンクや経口補水液がおすすめです
  • 飲み物の注意点:アルコールやカフェインの強い飲み物は利尿作用があるので、水分補給には不向きです

3.体調管理を万全に

  • バランスの良い食事:暑いからといって食事を抜くと、熱中症のリスクが高まります
  • 夏に備えた体づくり:徐々に暑さに体を慣らしていくことも大切です
  • 無理は禁物:体調が優れない日は、特に暑い時間帯の外出や運動は控えましょう

「もし熱中症になってしまったら?」

応急処置の基本

1.涼しい場所へ移動する

日陰や冷房の効いた室内など、とにかく暑い環境から離れましょう

2.体を冷やす

首筋、脇の下、太ももの付け根などを氷や冷たいタオルで冷やしましょう

3.水分・塩分を補給する

意識がはっきりしていて吐き気がなければ、経口補水液やスポーツドリンクを少しずつ飲ませましょう

病院を受診すべき場合

  • 自分で水分が取れない
  • 症状が改善しない、または悪化している
  • 意識がはっきりしない

これらの場合は、すぐに医療機関を受診してください。

  • 当クリニックでも熱中症の診察と治療を行っていますので、お気軽にご来院ください。

「最後に」

熱中症は正しい知識と予防で防げる病気です。特に注意が必要なのは、梅雨明けの急に暑くなる時期です。体がまだ暑さに慣れていないので、例年この時期に熱中症患者が急増します。

今年の夏は、この記事を参考に熱中症対策をしっかり行って、健康に過ごしましょう。

  • 何か心配なことがあれば、いつでも当クリニックにご相談ください。

熱中症が疑われる緊急時は、119番通報をためらわないでください