メタボリックシンドロームを知ろう
より健康な明日のために

「メタボ」って、実は何なの?

「メタボ」という言葉、よく耳にしますよね。でも、実際にどんな状態なのか、具
体的に説明できる方は意外と少ないかもしれません。

メタボリックシンドロームとは、お腹周りに脂肪がつき(内臓脂肪型肥満)、さらに高血圧、高血糖、脂質異常のうち 2 つ以上が重なった状態のことです。
これは「病気」というより「予備軍」の段階。でも、放っておくと、動脈硬化を進行させ、脳梗塞や心筋梗塞などの重大な病気のリスクを高めてしまうのです。

なぜ内臓脂肪が危険なの?

お腹周りについた脂肪、特に内臓の周りについた脂肪(内臓脂肪)は、ただの「贅肉」ではありません。実は体内でさまざまな物質を分泌し、血圧を上げたり、血糖値を乱したり、悪玉コレステロールを増やしたりする「活性化した組織」なのです。

いわば、お腹の中に小さな「工場」ができて、体に悪影響を及ぼす物質を作り続けている状態と言えます。

メタボリックシンドロームのサイン

こんな方は要注意!

  • ズボンやスカートのウエストがきつくなった
  • 最近階段を上るとすぐに息切れする
  • 健診で「血圧が高め」「血糖値が境界域」と言われた
  • 夕食後にソファでうたた寝することが増えた
  • 運動する時間がなかなか取れない

診断基準をチェック!

メタボリックシンドロームの診断基準は以下の通りです:

1.必須条件:

お腹周りが:

  • 男性:85cm 以上
  • 女性:90cm 以上
2.さらに次の 3 つのうち 2 つ以上当てはまる
  • 血圧が 130/85mmHg 以上
  • 空腹時血糖が 110mg/dL 以上
  • 中性脂肪が 150mg/dL 以上、または善玉コレステロール(HDL)が 40mg/dL 未満

メタボドミノを止めよう!

メタボリックシンドロームは「メタボドミノ」と呼ばれることがあります。最初は「お腹周りの脂肪」というドミノが倒れ、次に「高血圧」「高血糖」「脂質異常」と連鎖的に倒れていき、最後には「心筋梗塞」「脳卒中」という重大な病気に至る危険性があるのです。

私たちが目指すのは、このドミノを途中で止めること。早期発見・早期対策が何よりも大切です!

知っておきたい!マグネシウムとメタボの意外な関係

最近の研究では、マグネシウムの摂取不足がメタボリックシンドロームのリスクを高めることがわかってきました。マグネシウムは体内の代謝をスムーズにする重要なミネラル。十分に摂取することで、メタボリックシンドロームのリスクが最大31%も低下するという研究結果も!

マグネシウムを多く含む食品:

  • 緑黄色野菜(ほうれん草、小松菜など)
  • ナッツ類(アーモンド、カシューナッツなど)
  • 豆類(大豆、黒豆など)
  • 玄米・雑穀
  • 魚介類(特にイワシ、サバなど)

メタボ撃退!4 つの生活改善ポイント

1.食事の見直し -「量」より「質」を考えよう

標準体重を知って、必要カロリーを把握しましょう。

標準体重 = (身長 m)2 × 22

例)身長 170cm の方: (1.7m)2 × 22 = 63.6kg

過剰なカロリー制限より、バランスの良い食事が大切です。

  • 野菜から食べ始める
  • よく噛んでゆっくり食べる(20 回以上が理想)
  • 夕食は就寝 3 時間前までに
  • 間食はフルーツやナッツ類に

2.楽しく続ける運動習慣

「きつい」と感じる運動は長続きしません。まずは気軽に始められることから:

  • 一駅分歩く
  • エレベーターやエスカレーターより階段を使う
  • 買い物はカゴを持って歩く
  • テレビを見ながらスクワットやストレッチ

理想的なのは「有酸素運動」と「筋トレ」の組み合わせ。まずは 10 分間のウォーキングから始めて、少しずつ時間を延ばしていきましょう。毎日でなくても、週に3回から始めれば十分効果があります。

3.お酒との上手な付き合い方

適量のお酒は実は健康にも良いとされています。ただし「適量」がポイント!

  • ビール中瓶1本(500ml)
  • 日本酒1合(180ml)
  • ワイングラス1~2杯(200ml 程度)
  • ウイスキーダブル1杯(60ml)

これらが「純アルコール量 20g 程度」の適量の目安です。週に2日は「休肝日」を設けましょう。

4.禁煙のススメ

喫煙は動脈硬化を促進するだけでなく、実はメタボリックシンドロームのリスクも高めることがわかっています。禁煙外来を利用すれば、保険適用で効果的な禁煙サポートが受けられます。

年に一度は必ず健診を!

メタボリックシンドロームは自覚症状がほとんどありません。定期的な健診で早期発見することが大切です。40〜75 歳の方は年に一度の特定健康診査(特定健診)を必ず受けましょう。

  • 健診結果をお持ちの方は、ご来院時にご持参ください。