腎臓の健康を守りましょう
慢性腎臓病(CKD)を知る

腎臓って、実はすごい働き者なんです!

皆さんは腎臓のことをどれくらいご存知ですか?

腰の辺りに左右一つずつある、ソラマメのような形をした小さな臓器。たった150g程度のこの臓器が、私たちの体内で驚くべき仕事をしているんです。

腎臓は、体の中の「スーパーフィルター」。毎日約200リットルもの血液をろ過して、不要な水分や老廃物を尿として排出してくれます。でも、それだけじゃないんです!

腎臓の秘密の仕事リスト:

  • 血圧の調整マスター
  • ミネラルバランスの優秀なコントローラー
  • 体の酸性・アルカリ性バランスの調整役
  • 赤血球を作るためのホルモン工場
  • ビタミンDの活性化センター

つまり、腎臓は単なる「尿を作る臓器」ではなく、体全体の健康を支える重要な司令塔なんです。

慢性腎臓病(CKD)って何?

慢性腎臓病(CKD)は、何らかの原因で腎臓の機能が徐々に低下していく状態です。

実は、日本人の8人に1人が慢性腎臓病だといわれています。「えっ、そんなに多いの?」と驚かれるかもしれませんね。そう、新しい「国民病」とも言えるのです。
慢性腎臓病と診断されるのは、次のどちらかの状態が3ヶ月以上続いた場合です:

  1. 腎臓の機能が健康な人の60%以下に低下(eGFRが60ml/分/1.73m²未満)
  2. 尿検査でタンパク質が検出される

慢性腎臓病の恐ろしさは「静かに進行する」こと

慢性腎臓病の厄介なところは、初期には全く症状がないことです。「沈黙の病気」とも呼ばれる理由がここにあります。

病気が進行すると、こんな症状が現れることがあります:

  • むくみ(特に足首や目の周り)
  • 夜中に何度もトイレに行きたくなる
  • 疲れやすい、だるさが取れない
  • なんとなく食欲がない
  • 吐き気を感じる
  • 手足のしびれ

さらに進行すると、肺に水が溜まって息苦しくなることも。でも、その前に発見できれば対策は十分可能です!

慢性腎臓病の原因は意外と身近に

「私には関係ない」と思っていませんか?実は、慢性腎臓病の原因は私たちの日常生活に密接に関わっています。

主な原因:

  • 糖尿病 ― 血糖値の管理が腎臓の健康に直結します
  • 高血圧 ― 腎臓の血管に負担をかけ続けます
  • 肥満 ― 腎臓への負荷を増大させます
  • メタボリックシンドローム ― 複合的に腎臓にダメージを与えます
  • 加齢 ― 年齢とともに腎機能は自然に低下します
  • 腎臓自体の病気 ― 慢性腎炎症候群やネフローゼ症候群など
  • 薬の長期服用 ― 特に解熱鎮痛薬や一部の漢方薬など

複数の原因が重なると、腎機能低下のリスクはさらに高まります。

見つけるためのカギは定期検査

「症状がないのに、どうやって見つければいいの?」

実は多くの方が、健康診断や人間ドックで「腎機能の数値が気になります」と言われて初めて慢性腎臓病に気づきます。

大切な検査:

  • 尿検査 ― タンパク質や血液の漏出を調べます(朝一番の尿が最適)
  • 血液検査 ― 特にクレアチニン値とeGFR(腎機能の指標)をチェック
  • 画像検査 ― 超音波検査やCTで腎臓の形や大きさを確認
  • 生検 ― より詳しい診断が必要な場合に行います

腎臓を守る治療法

残念ながら、一度失われた腎機能を取り戻す治療法はまだありません。しかし、現在の腎機能を維持して進行を遅らせることは十分可能です!

治療の柱:

  • 原因疾患の治療 ― 糖尿病や高血圧のコントロールが最優先
  • 生活習慣の改善 ― 食事、運動、禁煙など
  • 薬物療法 ― 状態に応じた適切な薬の使用
  • 定期的な検査 ― 腎機能の変化を継続的に観察

腎機能が著しく低下した場合には、腎代替療法(血液透析、腹膜透析、腎移植)が必要になることもあります。

今日からできる!腎臓を守る5つの習慣

1.減塩生活を心がける ― 1日の塩分摂取量は "6g未満" を目標に

ワンポイント:醤油やドレッシングは「かける」より「つける」

2.適正体重を維持する ― 肥満は腎臓に負担をかけます

ワンポイント:急激なダイエットより、ゆっくり確実に

3.水分をしっかり摂る ― 1日 "1.5 〜2リットル" を目安に

ワンポイント:朝起きたらまず一杯の水を飲む習慣を

4.禁煙する ― タバコは腎臓の血管を傷つけます

ワンポイント :禁煙外来の利用も検討してみましょう

5.定期検査を欠かさない ― 年に一度は腎機能チェックを

ワンポイント:検査結果は時系列で保存しておくと変化がわかりやすい

「健康診断で腎機能の値が気になると言われた」
「家族に腎臓病の人がいるので心配」
「むくみや疲れやすさが気になる」

そんな小さな不安でも、お気軽にご相談ください。早期発見・早期対応が腎臓を守る最大の武器です。

  • あなたの腎臓は、24時間365日休むことなく働き続けています。その健康を守るのは、あなた自身です。今日から腎臓に優しい生活を始めてみませんか?