「おちんちんが痛い」と言われたら…
亀頭包皮炎の基礎知識

はじめに小さな悩みも大切なサイン

「おちんちんが痛い」—— お子さんからこんな言葉を聞くと、保護者として心配になりますよね。実は、男の子によくある症状の一つが「亀頭包皮炎」です。難しい名前ですが、適切な知識があれば安心して対処できるものです。

亀頭包皮炎って何? おちんちんの小さな大問題

男の子のおちんちん(陰茎)の先端部分を「亀頭」といい、それを覆っている皮膚を「包皮」と呼びます。小さな男の子は、この包皮が亀頭を覆った状態(「包茎」)が自然な姿。しかし、この狭い空間に細菌が繁殖すると、炎症を起こします。これが「亀頭包皮炎」です。

イメージしてみてください。雨が降った後、閉め切った部屋のような状態。湿気がこもりやすく、細菌にとっては楽園のような環境なのです。主な犯人は黄色ブドウ球菌や大腸菌など、私たちの身の回りにいる一般的な細菌たち。

こんな症状に注意! 赤信号を見逃さないで

お子さんが次のようなことを訴えたら、亀頭包皮炎を疑ってみましょう:

  • おちんちんの先が赤く腫れている
  • 触ると痛がる
  • おしっこをする時に痛がる
  • おちんちんの先から黄色っぽい液体(膿)が出ている

特に乳児の場合は、おむつ替えの時に注意深く観察することが大切です。小さな変化も見逃さない「探偵の目」を持ちましょう!

診断は医師におまかせ:お医者さんの「名探偵」的視点

亀頭包皮炎の診断は、通常、医師が肉眼で行います。子どもの場合はシンプルな炎症であることがほとんどですが、大人の場合は稀に他の疾患が隠れていることもあるため、定期的な検診が重要です。

治療法:お薬の力と将来に向けた対策

治療の第一歩は抗生物質の使用。多くの場合、数日で症状は改善します。しかし、根本的な解決には包茎状態への対処が必要になることも。

  • 小児の場合 :無理のない範囲で少しずつ包皮を引っ張る練習を行い、時間をかけて自然に包皮が引けるようにしていきます。強制は絶対 NG!お子さんが自発的に行えるよう、優しく指導しましょう。
  • 大人の場合 :繰り返し炎症を起こすようであれば、包皮環状切除術(いわゆる「環状切開」)を検討することもあります。

知っておきたい! 包皮ケアの黄金ルール

小さなお子さんの包皮ケアで最も大切なのは、「焦らないこと」。多くの男の子は成長とともに自然に包皮が引けるようになります。

ポイントは以下の3つ:

  1. 優しく練習  :入浴時などリラックスしているときに、少しずつ包皮を引く練習を。痛がるようなら無理をしない!
  2. 戻すことも大切:包皮を引いたら必ず元に戻すこと。戻さないと「嵌頓包茎」という状態になり、緊急処置が必要になることも。
  3. 清潔を保つ  :入浴時に優しく洗うことで、細菌の繁殖を防ぎます。

おわりに:お子さんの健やかな成長のために

亀頭包皮炎は、適切な知識と対処法があれば心配する必要のない、よくある症状です。「おちんちんが痛い」というお子さんの訴えに耳を傾け、早めに医師に相談することで、お子さんの健やかな成長をサポートしましょう。

  • ご不安なことがあれば、いつでも当クリニックにご相談ください。