お子さまの健康を守る
急性糸球体腎炎について知っておきたいこと
「急性糸球体腎炎」って何?子どもにも起こるの?
こんにちは。普段は元気いっぱいのお子さまが、突然「むくみ」や「赤い尿」に悩まされることがあります。「急性糸球体腎炎」は、そんな症状を引き起こす腎臓の病気です。
特に4~10 歳のお子さま(特に男の子)に見られることが多く、年間10万人あたり2~3人が経験します。決して珍しくはありませんが、保護者の皆さまが基本的な知識を持っていれば、早期発見・早期治療につながります。
「のどの痛み」の後に起こることも!?その不思議な関係
「のどが痛かったのに、なぜか腎臓に問題が?」と疑問に思われるかもしれません。
実は急性糸球体腎炎の 90% は、「溶連菌(ようれんきん)」という細菌に感染した後に起こります。お子さまがのどの痛み(溶連菌感染)を経験してから約2週間後、または「とびひ」から3~4週間後に発症することがあるのです。
ただし安心してください。溶連菌感染症は子どもの間ではよくある病気ですが、その中で実際に腎炎を発症するのはほんの一部です。
こんな症状に注意しましょう!
急性糸球体腎炎になると、次のような症状が現れることがあります:
- 朝起きたときのまぶたのむくみ(「昨日泣いたわけじゃないのに、目がはれている…」)
- 足首や足のむくみ (靴がきつく感じることも)
- 赤い色や茶色の尿 (コーラのような色)
- 尿の量が減る (おむつの交換回数が減ったり、トイレに行く回数が減ったりします)
- 元気がない・疲れやすい
- 高血圧 (めまいや頭痛の原因になることも)
診断はどうするの?
お子さまにこれらの症状が見られたら、ぜひ当クリニックにご相談ください。以下のような検査で確認します:
- 尿検査 :ほぼ 100% の患者さんに血尿が、約 80% に蛋白尿が見られます
- 血液検査:腎機能、溶連菌の抗体、補体価(免疫システムの働きを示す値)を調べます
- 血圧測定:高血圧があるかどうかチェックします
安心してください!ほとんどのケースで完治します
急性糸球体腎炎は自然に治る病気です。基本的な治療方針は:
- 安静にすること (無理な運動は避けましょう)
- 減塩食 (一時的に塩分を控えることで腎臓の負担を減らします)
- 症状に合わせた対症療法 (必要に応じて利尿薬や降圧薬を使用します)
多くの場合、外来での治療が可能ですが、症状が重い場合は入院が必要なこともあります。入院しても、通常1~2週間程度で症状は改善し始めます。
よくある質問
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急性糸球体腎炎は再発しますか?
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ほとんどの場合、一度かかると再発することはありません。これは良いニュースですね!
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将来、腎臓に悪影響が残りますか?
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急性糸球体腎炎では、適切な治療を受ければ、将来的に腎臓にダメージが残ることは稀です。
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いつまで症状が続くのか心配です
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通常、症状は1~2週間で改善し始め、2か月以内に完全に回復することがほとんどです。もし2か月以上症状が続く場合は、慢性腎炎の可能性も考えられるため、専門医の診察をお勧めします。
慢性糸球体腎炎との違い
急性糸球体腎炎とは別に「慢性糸球体腎炎」という病気もあります。こちらは:
- 原因が溶連菌ではなく、様々な免疫反応の異常
- 症状がゆっくり進行することが多い
- 治療法が異なる(ステロイドや免疫抑制薬を使用することも)
学校検診での尿検査で早期発見されることも多いため、検診で異常を指摘された場合は必ず受診しましょう。
予防と早期発見のために
急性糸球体腎炎を100%予防することは難しいですが、以下のことに気をつけると良いでしょう:
- のどの痛みや発熱があったら早めに受診する(溶連菌感染症の早期治療が大切です)
- 手洗い・うがいの習慣(感染症予防の基本です)
- 学校検診を大切に(無症状でも尿検査で早期発見できることがあります)
- 当クリニックでは、お子さまの腎臓の健康について、いつでもご相談をお受けしています。少しでも気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。
お子さまの笑顔と健康を、一緒に守っていきましょう!