お子様の下痢、その裏に潜む重要なサイン
~知っておきたい胃腸炎とその合併症~
朗報!ロタウイルスワクチンの効果
「最近、重症の胃腸炎で苦しむお子様が激減しているんです!」
その理由の一つが、ロタウイルスワクチンの普及です。かつては冬から春にかけて多く見られたロタウイルスによる重症な胃腸炎が、めっきり少なくなりました。
でも、油断は禁物!下痢のサインを見逃さないで
とはいえ、お子様の下痢症状は、まだまだ私たち医師が要注意としている重要なサインの一つです。なぜなら、時として思わぬ病気が隠れているからです。
こんな下痢症状には要注意!
- 長引く下痢
- いつもと違う便の色や形
- 下痢は落ち着いているのに元気がない
- 急な泣き声とぐったり状態を繰り返す
知っておきたい!下痢の怖い合併症
食中毒から腎臓の病気に?
耳慣れない病名かもしれませんが、「溶血性尿毒症症候群(HUS)」という怖い合併症があります。O-157 などの食中毒菌から引き起こされる病気です。
下痢が始まってから4~10日後に現れることが多く、早期発見・治療が非常に重要です。重症化すると、貧血や痙攣、意識障害などの深刻な症状を引き起こす可能性があります。
脱水症状にご注意を
特に乳児さんは、下痢による脱水症状が急速に進行することがあります。以下のような症状が見られたら要注意です:
- オムツが半日以上濡れない
- 口の中が乾燥している
- 機嫌が悪く、ぐったりしている
- 涙が出ない
腸重積という緊急事態も
なぜ水分補給が大切なの?
お腹の中で腸が重なり合ってしまう「腸重積」。実は、必ずしも血便が出るとは限りません。下痢だけが症状のこともあるのです。
特徴的な症状:
- 突然の激しい泣き声
- 泣いたりおさまったりを繰り返す
- 顔色が悪い
- いつもと様子が違う
ワクチン接種のすすめ
現在、ロタウイルスワクチンは任意接種ですが、重症化や合併症の予防に非常に効果的です。中には接種費用の補助が受けられる自治体もありますので、お住まいの地域の保健所やお近くの医療機関にご相談ください。
最後に一言
お子様の体調の変化に、一番敏感なのは保護者の皆様です。「いつもと違う」と感じたら、遠慮なく医療機関を受診してください。
- 私たち医師も、重症化のサインを見逃さないよう、細心の注意を払って診察いたします。
お子様の健康を守るため、私たちと一緒に見守っていきましょう。