お子さまのアレルギー性鼻炎について

「くしゃみが止まらない」
「鼻水が…」
それ、アレルギー性鼻炎かもしれません

小さなお子さまの鼻をグシュグシュとかむ姿や、朝からくしゃみの連続で困っていませんか?

「またかぜをひいたの?」と思われるかもしれませんが、実はそれ、アレルギー性鼻炎のサインかもしれません。

アレルギー性鼻炎って何?

アレルギー性鼻炎は、本来は無害なはずの物質(アレルゲン)に対して、からだが「敵が来た!」と勘違いして過剰に反応してしまう状態です。その結果、

  • くしゃみが連発する
  • 水のような鼻水が止まらない
  • 鼻づまりで口呼吸になる
  • 目がかゆくなる
  • のどがイガイガする

といった症状が現れます。
大人なら「アレルギーかな?」と気づきますが、小さなお子さまは自分の症状をうまく伝えられないため、ただ「鼻をこする」「口で呼吸している」などの行動で気づくことも多いんです。

アレルギー性鼻炎の種類

「一年中」なのか「季節限定」なのか

アレルギー性鼻炎には大きく分けて2つのタイプがあります:

季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)

いわゆる「花粉症」ですね。特定の季節になると突然発症し、花粉の飛散時期が終わると症状も治まります。

  • 春の花粉症:スギ・ヒノキが主犯!(2月〜4月)
  • 初夏の花粉症:イネ科の植物(5月〜7月)
  • 秋の花粉症 :ブタクサやヨモギ(8月〜10月)
通年性アレルギー性鼻炎

一年中症状が続くタイプです。主な原因はこちら:

  • ダニ:目に見えない小さな生き物で、寝具やカーペットに潜んでいます
  • ハウスダスト:家の中のホコリ(ダニの死骸やフンも含まれます)
  • ペットの毛やフケ:特に猫や犬の allergenic protein が原因に
  • カビ:湿気の多い場所で発生

多くのお子さまは、実はこの「通年性」と「季節性」の両方を持っていることが多いんです。例えば、ダニアレルギーがベースにあって、春になるとスギ花粉で症状が悪化する、というパターンです。

なぜ今、子どものアレルギー性鼻炎が増えているの?

近年、アレルギー性鼻炎を持つお子さまが急増していて、発症年齢も低年齢化しています。これには様々な理由が考えられます:

  • 住宅の気密性向上(換気が減った)
  • 生活様式の変化(屋内で過ごす時間が長くなった)
  • 大気汚染
  • 食生活の変化
  • 遺伝的要因

アレルギー性鼻炎の検査・診断

どうやって調べるの?

お子さまのアレルギー性鼻炎を診断するために、当クリニックでは以下のステップで検査を行います:

① 問診

まずはじっくりとお話を聞かせてください:

  • 症状はいつから?
  • 家族にアレルギーの方はいる?
  • 症状が悪化する時期や環境は?
  • 他のアレルギー(アトピー性皮膚炎や喘息など)はある?
  • 遺伝的要因
② 視診

お鼻の中を優しく診察させていただきます。アレルギー性鼻炎があると、鼻の粘膜が青白くなったり、腫れていたりします。

血液検査

血液中の「アレルゲン特異的IgE抗体」という物質を測定します。これにより、どのアレルゲン(ダニ、花粉など)に反応しているかがわかります。痛みは少し伴いますが、一度の採血で多くのアレルゲンを調べられるメリットがあります。

④ 皮膚プリックテスト(必要に応じて)

皮膚に微量のアレルゲン液を垂らし、軽く皮膚を刺します。アレルギーがあると、その部分が赤く膨れます。即時に結果がわかるメリットがあります。

アレルギー性鼻炎の治療

お子さまの症状と生活スタイルに合わせた治療を!

アレルギー性鼻炎は放っておくと、単なる鼻の症状だけではなく、お子さまの生活全体に影響を及ぼします:

  • 集中力が低下し、学習に影響が出ることも
  • 夜間の鼻づまりで睡眠の質が下がり、日中の活動に影響が
  • 喘息をお持ちのお子さまは、鼻炎症状が悪化すると喘息も悪化

当クリニックでは、お子さま一人ひとりに合わせた治療プランをご提案します:

① アレルゲンを避ける工夫

花粉症対策
  • 花粉情報をチェックし、飛散量が多い日は外出を控える
  • 外出時はマスク・メガネを着用
  • 帰宅時は玄関で服や髪についた花粉を払い落とす
  • お洗濯物は外に干さない(室内干しかコインランドリーを活用)
ダニ・ハウスダスト対策
  • 寝具は週に1回は天日干しを
  • ダニ防止カバーの活用
  • 掃除機をこまめにかける(特にベッド回り)
  • カーペットや布製ソファーは避ける
  • こまめな換気(1日2回、10分程度)

② お薬による治療

お子さまの年齢や症状に合わせて、以下のお薬を組み合わせて使用します:

飲み薬
  • 抗ヒスタミン薬:くしゃみや鼻水に効果があります。最近の薬は眠気などの副作用が少なくなっています。
  • ロイコトリエン受容体拮抗薬:特に鼻づまりに効果的です。
鼻スプレー
  • ステロイド点鼻薬:鼻の粘膜の炎症を抑えます。局所に作用するため、全身への影響が少ないのが特徴です。
  • ヒスタミン点鼻薬:くしゃみや鼻水を素早く抑えます。

お薬は症状が出てから使うだけでなく、症状が予測される時期(例:花粉の季節の前)から予防的に使用することで、より効果的に症状をコントロールできます。

③ アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)

アレルギー性鼻炎を根本から治す可能性がある唯一の治療法です。当クリニックでは、ダニとスギ花粉に対する舌下免疫療法を行っています。

舌下免疫療法とは?

原因となるアレルゲンを少量ずつ舌の下に入れることで、徐々に体をアレルゲンに慣らしていく治療です。毎日自宅でお薬を舌の下に入れるだけなので、お子さまでも続けやすいのが特徴です。

こんなメリットがあります
  • 薬による対症療法とは違い、アレルギー反応そのものを弱めることができる
  • 効果は治療終了後も長く続く
  • 他のアレルギー疾患(喘息など)の発症予防も期待できる
治療の流れ
  1. 初回は医師の監督のもとでお薬を服用します(副作用がないか確認するため)
  2. その後は自宅で毎日継続して服用します
  3. 治療期間は3〜5年程度(根気よく続けることが大切です)

お子さまのアレルギー性鼻炎、一緒に向き合いましょう!

アレルギー性鼻炎は「治らない病気」と思われがちですが、適切な対策と治療で症状を大幅に改善することができます。特に小さなお子さまは、早期からの適切な治療が将来の症状軽減につながります。

お子さまの「鼻グスグス」「くしゃみが多い」など、気になることがありましたら、お気軽に当クリニックにご相談ください。お子さま一人ひとりに合った治療プランをご提案いたします。