ピロリ菌の治療・除菌について

「胃の中の小さな住人」ピロリ菌とは?

あなたの胃の中に、目に見えない小さな「住人」がいるかもしれません。
その名も「ピロリ菌」。

この小さな菌は、それ自体では特に症状を引き起こさないことが多いのですが、長い間放っておくと胃潰瘍や十二指腸潰瘍、さらには胃がんのリスクを高める"静かな加害者"なのです。

日本人の約半数がこの菌を持っているといわれていますが、近年の研究で「ピロリ菌を除菌すれば胃がんのリスクを大幅に減らせる」ことがわかってきました。

当クリニックでは、この「無症状の脅威」と安全に、確実に別れを告げるお手伝いをしています。

ピロリ菌除菌が必要な方とは?

以下の方は、保険適用でピロリ菌の除菌治療を受けることができます:

  • ピロリ菌陽性で胃潰瘍・十二指腸潰瘍がある
  • 胃MALTリンパ腫の方
  • 特発性血小板減少性紫斑病の方
  • 早期胃癌に対する内視鏡的治療を受けた方
  • ピロリ菌感染による胃炎がある方

胃炎の場合は、ピロリ菌の検査(迅速ウレアーゼ試験・抗体測定・尿素呼気試験など)と胃カメラによる確認が必要です。

「もしかして私も?」と思われた方は、まずは当クリニックでの検査をご検討ください。

ピロリ菌除菌の3ステップ

STEP 1:ピロリ菌の存在を確認
様々な検査方法(胃カメラを使う方法や、呼気や血液、便などを調べる方法)があります。
まずはピロリ菌が本当にいるかどうかを正確に診断します。
STEP 2:7日間の除菌治療
ピロリ菌が見つかったら、7日間の除菌治療を行います。
胃酸を抑える薬と2種類の抗生物質を組み合わせた「三種の神器」で、胃の中のピロリ菌を退治します。

****重要ポイント!****
薬の服用を途中でやめると除菌失敗となり、薬が効かない「耐性菌」が出現することがあります。必ず処方された通りに7日間しっかり服用しましょう。
STEP 3:除菌成功の確認
治療後、最低4週間経ってから「判定検査」を行います。
「本当にピロリ菌がいなくなったか」を確認するための大切なステップです。

 除菌治療の成功率と再除菌について

1次除菌(成功率:約70〜80%)

多くの方は1回の治療で除菌に成功します。しかし残念ながら、近年は抗生物質への耐性菌が増えており、成功率は少し下がっています。

二次除菌でさらに約90%以上が成功

一次除菌で失敗しても、薬の組み合わせを変えた二次除菌で、ほとんどの方が除菌に成功します。一次・二次合わせると 90% 以上の方が除菌できています。

 三次除菌も可能(自費診療)

二次除菌でも失敗した場合、当クリニックでは三次・四次除菌も行っています(保険適用外・自費診療)。胃がん予防という大きなメリットがあるため、費用は全額自己負担となりますが、ご希望の方には丁寧に説明した上で実施しています。

除菌中に起こりうる「お付き合い」

よくある副作用とその対策

軟便・下痢 (10〜20%程度):

最も多い副作用ですが、1週間の治療期間中は我慢できる程度のことがほとんどです。当クリニックでは予防として整腸剤も一緒に処方しています。

味覚の変化(1〜8%程度):

「味がおかしい」と感じることがありますが、多くの場合は治療後に改善します。

その他

肝機能障害(1~5%程度)、アレルギー反応、発熱なども稀に起こることがあります。

除菌中のNG行為

飲酒・喫煙は控えましょう

除菌の成功率を下げる原因となります。

自己判断で服用を中止しないでください

副作用が出ても、多くの場合は1週間の服用を継続できます。心配な症状があれば、まずはご相談ください。

 ピロリ菌除菌後の生活

再感染のリスクは極めて低い

除菌に成功した後、再びピロリ菌に感染する確率は0.2%未満と非常に低いです。成人の場合は特に安心してよいでしょう。

それでも定期検査は大切です

除菌後も1~2%程度の方に胃がんが見つかることがあります。これは除菌前にすでに「胃がんの芽」があったケースや、ピロリ菌による「萎縮性胃炎」が続くことが原因と考えられています。

当クリニックでは、除菌治療を受けた全患者さんに1年後の内視鏡検査をお勧めしています。

よくある質問

ヨーグルトでピロリ菌を除菌できるって本当?

特定のヨーグルト(LG21®など)にはピロリ菌への抗菌作用があるとされていますが、普通に食べる程度では菌の数を減らすことはできても、完全に除菌することはできません。確実に除菌するなら、7日間の除菌治療をお勧めします。

治療しなくてもピロリ菌は自然に消えますか?

稀に自然に消えるケースもありますが、それを期待するよりも、1週間で終わる除菌治療を受けることをお勧めします。

胸やけがひどい場合、除菌治療はできますか?

逆流性食道炎の症状がひどい場合は、治療を少し遅らせることがあります。ピロリ菌には胃酸を中和する作用があるため、除菌すると一時的に胃酸による症状が悪化することがあるからです。ただし、胃がんのリスクを考えると、症状がコントロールできれば除菌することをお勧めします。

ピロリ菌の除菌は、胃の健康を守る大切な一歩です。

  • 当クリニックでは、あなたの胃の健康を守るために、最適な治療法をご提案いたします。ご不明な点があれば、いつでもお気軽にご相談ください。