高齢者のための
インフルエンザワクチンガイド
〜健やかな冬を過ごすために〜
寒い季節が近づくと気になるのが「インフルエンザ」ですね。特に 65 歳以上の方々にとって、インフルエンザは単なる風邪ではなく、時に命に関わる深刻な病気になることもあります。
今回は、インフルエンザワクチンについて、わかりやすくお伝えします。
どうぞ最後までお読みください。
インフルエンザワクチンってどんなもの?
インフルエンザワクチンは、不活化ワクチンと呼ばれるタイプのワクチンです。これは、ウイルスの活性を失わせて作られているため、ワクチンからインフルエンザに感染することはありません。
対象者:65 歳以上の方(定期接種)
※ 60 歳以上で特定の基礎疾患をお持ちの方も定期接種の対象になることがあります
接種方法:皮下注射で、年に 1 回接種します
ワクチンの効果って本当にあるの?
「ワクチンを打っても風邪をひくから意味がない」とおっしゃる方もいますが、実はそれは大きな誤解です。
インフルエンザウイルスが体内に入ると…
- まず「感染」(ウイルスが体内に入る)
- 次に「発病」(熱や喉の痛みなどの症状が出る)
- 場合によっては「重症化」(肺炎や脳症などの合併症を起こす)
というステップを踏みます。
現在のワクチンは「感染」を完全に防ぐことはできませんが、「発病」を抑え、特に「重症化」を防ぐ効果が高いことがわかっています。
具体的な数字で見ると…
日本での研究によれば、65 歳以上の高齢者施設入所者では:
- 34~55%の発病を防止
- なんと 82%の死亡を防止
する効果があったとされています。
つまり、ワクチン接種の最大の目的は「重症化を防ぐこと」なのです。年齢を重ねるほど、インフルエンザは単なる風邪ではなく命に関わる病気になる可能性が高まります。だからこそ、ワクチン接種が重要なのです。
接種時の注意点
接種当日について
- 接種後 30 分は医療機関で安静にしてください
- 接種当日は激しい運動や飲酒を避けましょう
- 入浴は可能ですが、長風呂は避けてください
こんな方は接種できないことがあります
- 明らかな発熱がある方
- 重い急性疾患にかかっている方
- 過去にインフルエンザワクチンでアレルギー反応が出た方
心配な点がある方は、事前に医師にご相談ください。
副反応について知っておきましょう
ワクチン接種後に起こりうる反応には以下のようなものがあります:
よくある副反応(10~20%の方に発生)
- 注射した部分の赤み、はれ、痛み
- 通常2~3日で消失します
全身反応(5~10%の方に発生)
妊娠中は風しんワクチンを受けることができません。もし抗体が不十分な場合は:
- 発熱、頭痛、寒気、だるさ
- こちらも通常2~3日で消失します
まれに、ショックやアレルギー反応が見られることもありますが、接種後 30 分間医療機関で過ごしていただくことで、万が一の場合にも素早く対応できます。
帰宅後に気になる症状があれば、すぐに医療機関にご連絡ください。
接種費用と助成について
インフルエンザワクチンは健康保険が適用されないため、原則自己負担となります。ただし、65 歳以上の方など定期接種対象者は公費助成があり、自己負担が軽減されることがあります。
費用の目安 :3,000 円~5,000 円程度(医療機関により異なります)
※自治体による助成があればさらに安くなることも
詳しくは、お住まいの市区町村の保健センターや当クリニックの受付にお問い合わせください。
接種はお早めに!
インフルエンザワクチンは接種してから効果が出るまで約 2 週間かかります。流行する前の 10 月から 12 月頃に接種するのがおすすめです。
当クリニックからのメッセージ
「年だから仕方ない」と諦めず、予防できることは積極的に行いましょう。インフルエンザワクチン接種は、ご自身の健康を守るだけでなく、大切なご家族や周りの方々を守ることにもつながります。
ワクチンについてのご質問は、いつでも当クリニックスタッフにお尋ねください。
皆様の健やかな冬をサポートいたします。