「風しん」って何?
知っておきたい基礎知識
みなさん、「風しん」という病気をご存知ですか?
子どもの頃に聞いたことがある方も多いかもしれませんね。実はこの風しんは、大人にとっても、そして特に妊婦さんや生まれてくる赤ちゃんにとって重要な感染症なのです。
風しんは、風しんウイルスによって引き起こされる感染症です。くしゃみや咳などの「飛沫感染」で広がります。感染してから症状が出るまでの潜伏期間は 2〜3 週間。発熱、発疹、耳の後ろや首のリンパ節の腫れなどが主な症状です。
多くの方は軽い症状で済みますが、ここで注目していただきたいのが、妊娠中の女性が感染した場合です。特に妊娠初期の感染は、生まれてくる赤ちゃんに「先天性風しん症候群」と呼ばれる様々な障害を引き起こす可能性があるのです。
なぜ今、大人の風しん予防が注目されているの?
「風しんは子どもの病気でしょ?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、実は昭和 54 年(1979 年)4 月 1 日以前に生まれた男性は、公的な予防接種を受ける機会がなかったため、風しんに対する免疫を持っていない方が多いのです。
この世代の女性は中学生の時に集団接種を受けていましたが、男性はその対象外でした。そのため、いま 40 代〜60 代の男性を中心に、風しん抗体を持たない方が多く存在します。2012 年〜2013 年の流行時には、20 代〜40 代の男性での感染が目立ったのも、この背景があるためです。
あなたの選択が、未来の赤ちゃんを守る
風しんの最大の脅威は、「先天性風しん症候群」。妊婦さんが感染すると、生まれてくる赤ちゃんに以下のような障害が生じる可能性があります:
- 先天性心疾患(心臓の病気)- 難聴
- 白内障
- 発育遅延
- その他の様々な健康問題
ここで重要なのは、風しんは予防できる病気だということ。ワクチン接種によって、これらのリスクを大幅に減らすことができるのです。
無料で受けられる!抗体検査・予防接種
朗報です!昭和 37 年(1962 年)4 月 2 日〜昭和 54 年(1979 年)4 月 1 日生まれの男性は、クーポン券を使って無料で抗体検査と予防接種を受けることができます。
【クーポン券の使い方】
- お住まいの市区町村からクーポン券が届きます(紛失した場合は再発行可能)
- クーポン券を持参して医療機関で抗体検査を受けます
- 抗体が不十分だった場合は、予防接種を受けましょう
健康診断の際に抗体検査を受けられる場合もありますので、ぜひ活用してください。
妊活中・妊娠中の女性へのアドバイス
妊活中の方へ
妊娠を希望されている方は、事前に抗体検査を受けて、免疫が不十分な場合は予防接種を受けておくことをお勧めします。風しんワクチンは接種後約 2 ヶ月は妊娠を避ける必要がありますので、計画的に行いましょう。
妊娠中の方へ
妊娠中は風しんワクチンを受けることができません。もし抗体が不十分な場合は:
- できるだけ人混みを避ける
- 夫や家族に抗体検査と必要に応じた予防接種を勧める
- 風しんの症状が出た場合は、事前に医療機関に電話で相談する
- 出産後、次の妊娠に備えて早めにワクチン接種を検討する(授乳中でも接種可能です)
職場での対応も重要です
風しん感染の報告で最も多かった場所は「職場」です。職場での感染拡大を防ぐためにも、次のことを心がけましょう:
- 職場全体での予防接種の検討
- 風しん様症状が出た場合は無理せず自宅療養
- 外出が必要な場合はマスク着用など感染対策の徹底
子どもの予防接種もお忘れなく
子どもがいるご家庭では、1 歳児と小学校入学前 1 年間の「麻しん(はしか)・風しん混合(MR)ワクチン」の定期接種を必ず受けさせましょう。多くの自治体で無料で受けることができます。
当クリニックでの風しん抗体検査・予防接種について
当クリニックでは風しんの抗体検査・予防接種を実施しています。クーポン券をお持ちの方は無料で受けられますので、ぜひご利用ください。ご不明な点があれば、お気軽にスタッフにお尋ねください。
一人ひとりの予防が、大切な命を守ります。