知っておきたい!
脂肪肝と生活習慣病の深い関係
皆さんは「脂肪肝」と聞くと何を思い浮かべますか?
「お酒を飲み過ぎると起こる」というイメージがあるかもしれませんが、実はアルコールを飲まない方にも起こる「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」が急増しています。
今回はこのNAFLD と私たちの健康に大きく関わる生活習慣病との意外な関係についてご紹介します。
血糖値と脂肪肝 ~かくれた危険な関係~
血糖値が高めの方、注意が必要です!人間ドックのデータによると、空腹時血糖が110mg/dL 以上の方の約半数に脂肪肝が見つかっています。さらに、糖尿病と診断された方では、実に 68%もの方が脂肪肝を持っているという驚きの結果も。
「血糖値が高いと、なぜ肝臓に脂肪がたまるの?」と不思議に思われるかもしれませんね。実は、インスリンの働きが悪くなると、体内の余分な糖が脂肪に変わり、肝臓にたまりやすくなるのです。
さらに気をつけたいのは、血糖コントロールと肝臓の健康状態の深い関係。糖尿病の方で、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が 7%以上の状態が長く続くと、肝硬変や肝がんのリスクが高まることがわかっています。
血液の脂質と脂肪肝 ~想像以上の密接な関係~
「コレステロールが高い」「中性脂肪が高い」と言われたことはありませんか?これらの脂質異常症と NAFLD の関係も深いのです。
統計によると、脂質異常症を持つ方の約半数が脂肪肝を合併しています。特に中性脂肪が高い方では、実に約 60%の方が脂肪肝を持っているというデータも。血液中の脂質が多すぎると、肝臓に余分な脂肪がたまりやすくなるのは想像できますね。
高血圧と脂肪肝 ~意外な関連性~
「高血圧と肝臓に何の関係があるの?」と思われるかもしれませんが、実は NAFLDの方の 30~50%が高血圧を合併しています。正確なメカニズムはまだ研究段階ですが、互いに影響し合う関係にあることがわかってきました。
脂肪肝は「全身病」と考えよう
これらの関係から見えてくるのは、NAFLD が単なる「肝臓の病気」ではなく、全身の健康状態を映し出す「全身病」だということ。特に注意したいのは、脂肪肝の方は動脈硬化が進みやすく、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まる可能性があるということです。
そのため、最新の診療ガイドラインでは、NAFLD と診断された場合、肝臓だけでなく全身の健康チェックが推奨されています。心電図検査や頸動脈エコー検査などで、動脈硬化の状態をチェックすることも大切です。
また、肝がん以外のがんのリスクも高まることがわかってきているため、定期的な健康診断で全身をチェックすることをお勧めします。
まとめ ~脂肪肝は体からの SOS サイン~
NAFLD は、私たちの体が発している大切な SOS サイン。「肝機能の数値が少し高い」と言われても軽視せず、生活習慣の改善に取り組むことが大切です。食事の見直し、適度な運動、十分な睡眠など、シンプルですが効果的な生活改善が脂肪肝の改善につながります。
- 当クリニックでは、脂肪肝と診断された方に対して、生活習慣病全般のケアを行っています。「最近太ってきた」「健診で肝機能の数値が高いと言われた」という方は、お気軽にご相談ください。
- あなたの肝臓の健康は、全身の健康につながっています。今日から肝臓に優しい生活を始めてみませんか?