― 川崎病 ―
知っておきたい子どもの病気
お子さまの高熱が続いたら…
「5日間も熱が下がらない」
「目が真っ赤になっている」
「手がパンパンに腫れている」
このような症状が現れたとき、それは単なる風邪ではなく、「川崎病」かもしれません。
毎年日本では 1 万人以上のお子さまが診断される、決して珍しくない病気です。
川崎病って何?
川崎病は主に5歳未満のお子さまがかかる病気で、血管に炎症が起こることが特徴です。1967 年に川崎富作医師によって初めて報告されました。
こんな症状が出たら要注意!
川崎病の 6 つのサイン
- 5日以上続く高熱
- 両目の白い部分が真っ赤に
- 唇が赤く腫れる・いちご舌(舌に小さな赤い突起)
- 胸やおなかに不規則な発疹
- 手足が赤く腫れ、後に指先から皮がむける
- 首のリンパ節が腫れて痛む
これらのうち 5 つ以上が見られると、川崎病と診断されることが多いです。ただ、全ての症状がそろわないこともあるので、気になる症状があればすぐに医師に相談しましょう。
原因はまだ解明されていません
「どうして川崎病になるの?」
残念ながら、まだ完全には解明されていません。遺伝的な要素と環境要因が複雑に絡み合っていると考えられています。特定のウイルスや細菌が原因ではなく、お子さまの体質や環境が複合的に作用して発症すると考えられています。
そのため、「〇〇をしたから発症した」というものではなく、保護者の皆さまに責任はありません。
なぜ早期発見・早期治療が大切なの?
川崎病の一番の心配は、心臓の冠動脈(心臓に栄養を送る血管)に影響が出ることです。適切な治療が遅れると、この血管が風船のように膨らむ「冠動脈瘤」ができることがあります。
これは将来、お子さまが大人になったときの心筋梗塞のリスクにもなりうるため、早期に発見して適切な治療を行うことが非常に重要です。
治療はどうするの?
標準治療は?
- 免疫グロブリン大量静注療法(IVIG):体の過剰な炎症反応を抑える特殊なタンパク質を点滴で投与します
- アスピリン:血栓予防と炎症を抑える効果があります
- 重症例では、ステロイドやシクロスポリンなどの薬も使用することがあります
入院期間は?
通常、急性期の治療で約 1〜2週間の入院が必要です。症状や検査結果により異なりますので、担当医とよく相談しましょう。
治療後の経過は?
多くのお子さまは適切な治療により完全に回復します。しかし、約 10〜20% のケースでは最初の治療が効かないことがあり、追加の治療が必要になることもあります。
冠動脈に変化が残った場合は、退院後も定期的な通院と、場合によっては投薬が必要です。心配な場合は遠慮なく医師に質問してください。
お子さまと保護者の皆さまへ
川崎病と診断されると不安になるのは当然です。しかし、現代の医療では早期に適切な治療を受ければ、ほとんどのお子さまは合併症なく回復します。
私たちクリニックでは、お子さまの症状や治療について、わかりやすくご説明します。どんな小さな疑問でもお気軽にご相談ください。お子さまの健康を一緒に守っていきましょう。
こんなときはすぐご連絡を
- 5 日以上続く高熱
- 目の充血、唇の腫れや赤み
- 手足の腫れや発疹
- 以前川崎病と診断されたお子さまに再び熱が出た場合